親の会でのひとコマ
親の会でのひとコマ
2016/10/25現在、不登校である小学生男子の一人が、親御さんを通して知り合った、同じく不登校である中学生男子と一緒に川へ釣りに行ったり、綺麗な石を集めたりして、とても仲良く楽しい時間を過ごしているようです。
不登校になった後、適応指導教室やフリースクール、他にも家庭教師など第三者と関わる場所がいくつかあります。
しかし、そのどれかにも属することが出来ず、なかなか自分の居場所を持てない場合もあります。
そんな時に、このように気の合った子供どうしが、一緒に時間を過ごす機会を持つことは、非常に有意義だと思います。
自分の居場所を持てないということは、確かに他者と交流する機会は減ります。
それでも今回の例のように、それぞれに適した環境さえ整えば、子供は他者と関わることができ、元気になる方向へ自然に歩み始めるのではないでしょうか。
その環境を十分に整備することこそが、今後の課題だと思います。
親の会でのひとコマ『ゲーム依存への不安』
2016/09/27ある親の会で、ゲーム依存の不安についての話が出ました。
これについては、親の会でよく議論される話題の一つなんですが、これまでの一般的な事例から気付くことをお話したいと思います。
学校に行かなくなり、どうしても家にいる時間が多くなると、携帯ゲームをしたり、動画を視聴する時間が増えがちになります。
多くの親御さんからは、ゲーム依存にならないかを心配する声があがります。朝から晩までゲームに没頭する姿を、一番近くで見ているわけですから無理もありません。
今までに関わってきた方を振り返ると、確かに多くの生徒さんは、ゲームだけに没頭する時期がありました。ただし、ほとんどの場合は、一定期間、ゲームをしたり動画を視聴することに没頭した後、それ以外の他のことにも関心を示し始めます。
一時的にゲームなどに没頭する期間を経ると、他のことに関心を示すためのエネルギーが溜まるのではないでしょうか?
つまり、ゲーム依存を恐れるがあまり、ゲーム器を取り上げてしまうと、そこから先に広がるであろう可能性が閉ざされることになりかねません。
結果的に言えば、不登校初期段階は、ゲームでも何でも、好きなことに没頭させる段階です。ある程度、没頭してエネルギーがたまれば、相変わらずゲームは続けるものの、ゲーム以外のことにも関心を示す次の段階に進むと思われます。
親の会でのひとコマ『気持ちをていねいに聴く』
2016/09/21過去に不登校やひきこもりを経験し、現在は専門学校に通っている娘さんが、「今日は学校に行きたくない」と話したことがあったそうです。
その後、親御さんは事情を娘さんから聴いた上で、「そんなにしんどいなら、今日はお休みしてもいいんじゃない?」と答えました。そう言われた娘さんは、「やっぱり1時間だけでも学校に行ってくる」と言って出かけたそうです。
子供の気持ちに寄り添い、共感し理解することは、単に甘やかすこととは違います。中には困難な状況にも動じず、どんどん前進していく子供もいるかもしれません。一方で、繊細で敏感な子供もいます。それぞれのタイプに応じた対応をすることが大切です。
繊細で敏感な子供が、学校で辛く不安な状況に直面したとします。その際、「頑張って乗り越えなさい」と単に厳しい言葉をかけたとしても、さらに子供を追い込んでしまい、状況が改善する可能性は低いでしょう。
そうではなく、子供の気持ちを丁寧に聴いて、その思いを受けとめてください。それが継続されることで、今回の娘さんのように、子供の苦しみや辛さが和らぎ、頭の中が整理され、行動しやすくなります。
親の会でのひとコマ『第三者との交流』
2016/09/02先日参加した、ある親の会で、印象的だった言葉をご紹介します。
数年間、ひきこもりを経験した30歳の男性参加者は、「自分のことを知っている親や友達には話せないことでも、全く自分のことを知らない第三者には、いろいろ話すのは平気だった。気楽に話すことができた」と話されていました。
親や家族と話すことが難しくても、第三者とであれば気楽に話すことができて、前進するきっかけをつかみやすくなります。
不登校やひきこもりの場合、誰かと会うことを拒んでいる段階から、少しずつ回復して誰かと話せる段階に達した時に、スムーズに趣味や話題を共有できる第三者と話ができる機会を持てるかどうかが重要になります。
共有できる話題や体験を通して、第三者に共感し理解してもらえることは、自信を深め、行動できる範囲のさらなる拡大につながります。
みんなの家庭教師でも、アウトリーチ(訪問支援)を通して、趣味や話題を共有できる時間を提供しております。
一緒にキャッチボールや将棋をしながら会話したり、好きなゲームや動画の話をしながら気持ちに共感し、前向きな気持ちになる時間を創り出します。
親の会でのひとコマ『父親たちの飲み会』
2016/08/20先日、小松市で開かれた親の会、「えいむ石川」の定例会は、14名の参加者のうち過半数の8名が男性でした。
また、毎回男性参加者が多いこともあってか、奥様に連れられて参加されたご主人もいらっしゃいました。
それを受けて、今秋、「えいむ石川」の定例会終了後に、「父親たちの飲み会」を開こうという意見がありました。
父親たちだけの場所だからこそ、思い切って本音や悩みを語れる絶好の機会になりそうです。
また、妻や家族から言われて素直に飲み込めないことも、同年代の父親達と話をすることで、共感し素直に受け入れることができるかもしれません。
さらに、不登校の子供を持つ父親達が同じ問題を共有して共感し合うことは、ふだんの気持ちにゆとりを与え、今後の子供や妻との会話にも何らかの好影響を与えることも期待できます。
もちろん、初参加の方も大歓迎です。例えば、飲み会で楽しく過ごすことを目的に、気軽に参加されてもOKです。詳細は来月の「えいむ石川」の定例会でお知らせする予定です。
親の会に参加された、ある父親の言葉です。
「子供が元気になるために大切なのは、父親と母親、両方の足なみをそろえることだと、ようやく気づきました」
「父親たちの飲み会」が夫婦の足なみをそろえる良いきっかけになればと思います。
親の会でのひとコマ『ゲーム機を取り上げるべきか?』❸
2016/08/08では、親はどう対応すればいいのでしょうか?
最も重要なことは、「なぜ子供がゲームを長時間したい気持ちになるのか?」に対する本質を見極めた対応をとることです。
子供は傷つき疲れて、現状を不安に感じながら生きています。そのような状態では、ゲームやアニメの世界に入り没頭し、しばらく何も考えない時間を持つことが必要になります。その期間を経て、少しずつですがエネルギーがたまって充足感を感じれば、ゲーム以外のものにも関心を見出したりできるようになるのではないでしょうか?
百者百様ではありますが、これまでに出会った多くの不登校経験者の発言や事例は、ゲームに限らず、好きなことを心ゆくまで思う存分やらせたほうが、回復に向かいやすくなることを明らかにしています。
つまり、一時的なゲーム依存や好きなこと依存は、枯渇したエネルギー不足の子供を充電させる効果が大きいことに気づかされます。
加えて、子供の気持ちに共感したり、「〜してくれてありがとう」の言葉がけを試みてください。親御さんの中には、「私自身、気持ちに余裕がないから子供に共感するどころではない」と言われる方もいるでしょう。その場合は、余裕がある時に、できる範囲でいいので、少しずつ始めてみてください。
気持ちを共感される機会が増えれば、彼らの居場所は内なるゲームの世界から外の世界へ広がりやすくなり、徐々に親の話に耳を傾ける時間が増えてきます。
そして、かなり回復して元気になってくれば、第三者の風を入れて、家庭以外の居場所を見つけることも可能になります。例えば、みんなの家庭教師の「メイクフレンズ」では、同年代と一対一での交流を通して、話題を共有できる人と会うことも可能です。また、様々な複数の年代の人たちと会うことが可能であれば、フリースクールなどの居場所を利用する方法もあります。
結論としては、ゲーム機という「命綱」を取り上げて、さらなる不安定状態を招くより、その居場所をそっと残しておくことが元気になる第一歩になります。そして、できる範囲で子供を認めて共感し、居場所を外の世界へ広げていくことこそが、ゲーム依存に対する真の予防になるのではないでしょうか?
親の会でのひとコマ『ゲーム機を取り上げるべきか?』❷
2016/08/07もう一つは、「向き合いたくない現実があって、何となくテレビゲームを続けている場合」です。
彼らに聞くと、「ゲームが楽しいというより、ムカつく現実を忘れられるから」とか「ゲームをしている時間だけは没頭できるので何も考えずにすむから」と答えます。決してキラキラした顔でゲームをしているわけではないのです。
不登校になった場合、子供は親以上に不安な気持ちを抱えて生きています。ゲームは、よく「命綱」や「浮き輪」に例えられます。現時点で、彼らにとってはゲームという居場所があることで「かろうじて今を生きていられる」のです。
親御さんは「もしゲーム依存になったら将来が不安。。。」と未来を考えていることに対して、子供は「今が不安で辛い。。。」と今を考えています。ここに考え方のギャップがあることに気づかない限りは、いつまでたっても両者の話はかみ合いません。
これまで多くの事例を聞いたうえで言えることは、強制的にゲーム機を取り上げたケースの多くの場合、親子関係が悪化し、子供自身も決して回復に向かわないということです。命綱とも言うべき、浮き輪を取り上げられるわけですから当然です。
子供からゲーム機を取り上げることは、子供を傷つけ、親子関係を悪化させます。そうなると、会話が全くなくなってこう着状態になってしまったり、ゲーム機を力づくで奪い返そうと暴れ出して手がつけられなくなり、家族が避難することになった事例もあります。結局、ゲーム依存を避けるためにとった手段が、ゲーム依存を招くことにつながりかねないのです。
「ネットゲームは唯一の心を許せる場所だったのに、それを取り上げられ、本当に孤独な気持ちになり死にたくなった」という方もいました。彼らとの会話から、ゲームの世界は、彼らにとって賞賛や共感を得ることができる唯一の居場所になっている場合も少なくないことに気づかされます。
では、親はどう対応すればいいのでしょうか?
続く。
親の会でのひとコマ『ゲーム機を取り上げるべきか?』❶
2016/08/06各地の親の会に顔を出していると、定期的に話題にあがる親御さんの悩みの一つに、子供のテレビゲーム依存に対する不安があります。つい先日も、ある親の会で「ゲーム機を取り上げるべきかどうか」についての議論がありました。
これに関して、いま一度考えてみたいと思います。
まず、子供がゲームを毎日長時間するには理由があります。二つに分けて考えてみます。
一つは、「テレビゲームを心から楽しくて、好きで夢中になってやっている場合」です。この場合の子供の表情はキラキラして輝いています。
ゲームに夢中の時は、遠くから大声で呼んでも聞こえないので、近くまで寄っていき、「あと何分くらいでセーブできそう?」とか「レベルはいくつまで上げればOKなの?」など、子供の都合を聞くようにすると親の話にも聞く耳を持ってくれます。
1日にするゲーム時間を決めることも一つの方法かもしれません。ただ、「ゲームをやり過ぎてはいけない」という親の価値観を押しつけるよりも、「ゲームが好き」という子供の価値観を認めて共感してあげるくらいの姿勢を持った方が、子供も親の話に耳を傾けてくれるのではないでしょうか?
確かに共感することは、親御さんの気持ちに余裕がないと難しいことかもしれません。さぞかし仕事や家事で疲れているでしょう。それでも、子供に共感しようとする意識を持つことは非常に大切です。
したがって、ゲームに関するルールを決めるにしても、この意識を持ったうえで決めることが一番望ましいと思われます。
もう一つは、「向き合いたくない現実があって、何となくテレビゲームを続けている場合」です。
続く。
『親の会』のひとコマ
2016/05/31先日、ある親の会に初めて参加された40代の男性がいらっしゃいました。ご自身の経験をもとに話された言葉がとても印象的でした。
「大学時代、私はいろいろと思い悩むことがあり、一年間自分のアパートの部屋に引きこもっていた時期がありました。学校にも行かず、友達が部屋に訪ねてきても居留守をつかい、決して会おうとしませんでした。
当然ながら、進級することはできず留年することになりました。もう一年大学に通うために、親に報告し頭を下げた時は、とても辛く惨めな気持ちでいっぱいでした。
そんな状況の中で、『どうにか無理やりでもやる気を出して、とにかく前に進もう、なんとかしよう』と、もがきながら生きていました。運が良かったのか、少しずつやる気を取り戻し、なんとか卒業できました。
あれから20年以上経ち、当時をふりかえり思うことは、大学時代に学んだどんな専門科目の知識より、あの小さな部屋で一人悶々と葛藤しながら過ごした時間が、社会人として今を懸命に生きる私にとって、かけがえのない一番の宝物だということです」
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