講演会で話したこと

講演会で話したこと❼

2019/11/14

その根拠になるのは、不登校経験者やその親御さんから発せられる言葉です。そして、親の会などに足を運べば、その言葉を聞くことは可能です。

 

実際のところ、親の会に参加されたことで親子関係が徐々に改善されていったケースをいくつも見かけました。

 

一方で、どうしても親の集まりに参加できない、参加することが難しいと感じる親御さんも少なからずいらっしゃるのも事実です。

 

そういう方々に対するアプローチを考えていく必要があり、その一つがこの夏から始めた「吐露カフェ」です。

 

これに加えて、親御さんのためのメイクフレンズも効果的ではないかと考えております。

 

「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ。一人じゃないんだ、仲間がいるんだ」と。

 

そんなふうに感じて頂く環境をいかに作り出すか。今後はその点も意識して活動を行なっていきたいです。

講演会で話したこと❻

2019/11/01

講演会の最後に、「今後取り組んでいきたいこと」について触れました。

 

今後取り組んでいきたいこと。それは、現在不登校で悩んでいる方が、不登校経験者やその親御さんに会って対話できるサービスを拡大していくことです。『不登校経験者の人材バンク』のようなイメージを持っています。

 

過去に不登校を経験した方やその親御さんにご登録頂き、彼らの力を活用できればと。今悩んでいる方が、経験者たちと話して「悩んでいるのは自分だけじゃない。自分の気持ちを分かってくれる仲間がいるんだ」と、共感される機会を十分に得ること。それが、彼らの不安の緩和につながるのだと信じております。

 

不登校関連の講演会などでよく耳にする言葉の一つに、「親御さんは自分の子どもを信じることが大切」というのがあります。

 

確かに、子どもを信じることは非常に大切です。信じることで、子どもの成長に大きな違いが出ることは、この仕事をしながら日々感じる部分です。

 

ただ一方で、「子どもを信じなさい」と言われても、不安が先行してしまい、なかなかそう簡単にはいかないのが現実だというのも感じます。

 

そこで、「うちの子どもはきっと元気になる」と信じられる根拠、その後押しになるものが必要になると考えています。

 

続く。

講演会で話したこと❺

2019/10/19

もう一つの理由は、一緒に楽しんでいる存在がいるからです。

 

みんなの家庭教師では、ゲームに限らずカードゲームなど、生徒が好きなことを一緒に楽しんだり、それに関する雑談の時間を必ずとるようにしています。

 

そうすることによって、自分が好きな趣味を誰かに肯定してもらえた、もっと広く言えば自分自身を肯定してもらえたという感覚が生まれるのではないでしょうか。

 

通学できなくなったばかりの生徒と接していると、「自分が否定された」と彼ら自身が日常的に感じやすくなっている瞬間を数多く見受けます。

 

それは、とても敏感な気質が関係しているのかもしれませんし、一時的にそういう状態になっているのかもしれません。

 

とにかく、生徒が弱っている状態だからこそ、生徒が認めているものを心から肯定できる存在、彼らと一緒になって楽しめる存在は本当に重要であり、ここに彼らが回復していくヒントがあると強く感じます。

 

つまり、ゲームを制限したり取り上げるのではなく、それを認めて一緒に楽しむ。結局はそれが回復を早め、ゲーム以外のことに関心を持たせ、ゲームへの執着を遠ざける手助けになるのです。

 

当たり前ですが、彼らはまだ十代です。

 

ゲームしか楽しみを知らなかった彼らが、回復して元気になっていくことで、ゲーム以外のことにも関心を覚え始めた。そんな事例はたくさんあります。

 

実は、そういう事例をできるだけ多く知ることが、親御さんにとっては非常に大切な点です。

 

続く。

講演会で話したこと❹

2019/10/12

「ゲームや動画を制限しない方が良い」と言うと、「ゲーム依存症になったりしませんか?」とか「ゲーム脳になったらどうするんですか?」という質問を受けることがほとんどです。今回の講演会後の質問でも、類似の質問がありました。

 

まず、ゲーム依存症とは何でしょうか?

 

「他の趣味や日常的な活動(勉強や仕事、家事など)よりもゲームに没頭することへの優先順位が高まり、他の活動よりもゲームをすることが優先される。そして、否定的な結果(学校や仕事をやめてしまうなど)が生じているにもかかわらず、ゲームの使用が持続、またはエスカレートすること。また、ゲーム依存症と診断されるためには、その行動様式が個人的、家庭的、社会的、学業的、職業的などの機能領域において、著しい障害をもたらすほど重大でなければならず、通常少なくとも1年間にわたっていること」

 

これがゲーム依存症の定義だとすれば、過去にある一定期間関わった中で、ゲーム依存症になった方は誰一人いません。理由は二つあると思われます。

 

一つは、ゲームに限りませんが、何かに一時的に没頭することで気持ちが安定へ向かいやすくなるからです。

 

多くの方に共通するのですが、彼らにとってゲームをする理由は、それを楽しむというよりむしろ、「ゲームに集中することで嫌なことを考えなくてすむ状態になるから」という意味合いが大きな比重を占めていることです。

 

いわば、彼らにとってゲームをすること。それは、単なるエンターテインメントだけではなく、「座禅」をするようなもの。座禅をして無念無想の境地(何も考えず、心をからにしたような状態)になることに近いと言えます。

 

多くの不登校の子どもたちにとって、それが元気になるための通り道であるとしたら。

 

ゲーム(好きなこと)をすることの意味は、多くの大人が心配しているゲーム依存症とは全く違ってくるのではないでしょうか。

 

続く。

講演会で話したこと❸

2019/10/10

家族(祖父母や配偶者)との対立で生じる不安

不登校になった後、家族(祖父母や配偶者)と意見が食い違うことで家庭不和になるケースが見られます。実際のところ、家族も同様に、子どもの将来に先が見えず不安を感じています。そういう場合、家族の気持ちを丁寧に聴き、それを尊重します。

 

その一方で、不登校に関する他の事例を具体的に伝えながら、将来の道筋を一緒に考えていきます。家族それぞれの安定が、ひいては子どもにも安定をもたらすことは間違いありません。

 

 

否定されて生じる孤独や不安

不登校になった後、家族から好きな物を制限されたり、否定されたりするケースを見かけます。そういう環境下では、子どもはさらに落ち込み、孤独感を感じやすくなってしまいます。覚えておくべきことは、学校に行けなくなって一番しんどいのは子どもだということです。

 

多くの事例を見て間違いなく言えることは、とても敏感な気質を持つ子どもを追い込んで不安にさせて、何とか動かそうとする関わりは、「百害あって一利なし」です。ただでさえ通学できず辛いのに、新たに余計なダメージが加わり、さらに長引く状態を招いてしまいます。学校に行けない時こそ、彼らを認めて肯定する関わり方が必要になります。

 

彼らにとっての〝ときめき〟(マンガ、カードゲーム、テレビゲームや動画など)を決して制限せずに、共有し共感することで彼らを承認、肯定する。不登校によって生み出された時間を、周りの人間も一緒に楽しんであげられる環境をつくることが大切です。

 

続く。

講演会で話したこと❷

2019/10/09

次に「不登校で生じた不安を緩和するために」では、次の5つの不安を挙げて解説しました。

 

将来に対する漠然とした不安、進学に対する不安、孤立から生じる不安、家族(祖父母や配偶者)との対立で生じる不安、周囲から否定されて生じる孤独や不安。

 

 

将来に対する漠然とした不安

よく見られるのは、不登校になった後の先の見通しが立たず、「一体いつまで続くのか?」と不安に陥るケースです。みんなの家庭教師では、過去の不登校経験者の事例をもとに「彼らの数年後がどうだったか?」を具体的に伝え、将来の道筋が見えるよう今後を一緒に考えています。

 

 

❷進学に対する不安

間違った情報を信じて、不安になっているケースを多く見受けます。そのため、まずは受験に関する本当の情報を丁寧に伝えます。出席日数などの内申書や、高校の合格ライン、通信制高校や定時制高校に関する情報など。

 

また、学力面に関しては、LINEを通して生徒一人一人に合ったオーダーメイドの宿題を提案し、添削指導でサポートします。加えて、家にひきこもりがちな生徒に対しては、外に一歩出るためのきっかけ作りとして、金沢駅近くのみんなの居場所を活用し、高校進学後の通学に関する不安を緩和します。

 

 

❸孤立から生じる不安

不登校の相談に関して最初の窓口になるのは、金沢市の教育プラザ富樫など公の機関が一般的です。しかし、その後は一人で悩み孤立してしまうケースをしばしば見かけます。大切なのは、「自分だけじゃない。自分の気持ちを分かってもらえる、共感してもらえる場所がある」と思える居場所を見つけること。それこそが親御さんや子どもの不安の緩和につながります。

 

みんなの家庭教師では、県内の親の会、フリースクールや適応指導教室など、それぞれの特徴を具体的に伝え紹介しています。また、要望があれば、フリースクールの見学にも同行します。

 

それでも、様々な事情から親の会へ足を運べないような親御さんもいらっしゃいます。そんな場合には、同じ経験をされた他の親御さんに一対一で会えるような環境を提案します。同様に、フリースクールや適応指導教室などの居場所へ行けない子どもに対しても、他の子どもに一対一で会えるような環境を提案しております。

 

続く。

講演会で話したこと❶

2019/10/08

先月の9月29日に、石川県臨床心理士会の「スクールカウンセラー研修会」で講演をさせて頂きました。

 

今まで約20年間、家庭教師として活動してきましたが、スクールカウンセラーと接点を持ったことは一度もありませんでした。そのため、今回の講演で多くのスクールカウンセラーとお会いさせて頂いたことは、僕にとって非常に新鮮でした。

 

その講演のお題を「不登校で生じた不安を緩和するために」としながらも、冒頭に「(生徒との)初対面で気を付けていること」について、過去の失敗談における「生徒からのメッセージ」として、いくつか交えながらお伝えしました。

 

ここでは二つほどお伝えしておきます。

 

一つは、家庭教師を始めて間もない頃に「今日会ったばっかりで自分のことを全く知らない人に、いきなり自分の気持ちを話すのは難しい」と言われ、そっぽを向かれてしまったことがありました。

 

それ以来、初対面の時は、雑談を通して相手を知り、自分のことを知ってもらうことに相当な時間を割いています。個人差はありますが、この点は特に「とても敏感な子どもたち」にとっては非常に重要な部分だと認識しています。

 

もう一つは、「『ながら』で聴かれると、ちゃんと向き合ってくれてない感じがする。大切にされていないようで嫌だ」と言われたことです。

 

これは、メモを取りながら相手の話を聴いていた時に言われたのですが、それ以来、話をする時はメモを取らずに、相手に100%向き合うことを心がけています。もちろん、この点も個人差はあるでしょうが、敏感な子どもたちにとっては言語化できないことも含めて、とても大切な点だと強く感じます。

 

この二つの経験から、「相手に関心を持ち、学ぶ姿勢でいること」が重要だと言えるでしょう。

 

「教えてあげよう」という上からの姿勢で接したら最期。あっという間に見透かされてしまい、彼らとの心の距離は遠ざかってしまいます。

 

常に同じ人間として、教え教えられる「ギブアンドテイク」の意識を心がけたいものです。

 

続く。

 

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