不登校について

なぜ不登校になるのか?

学校へ通うことで、不安や恐れが増大し続けると、身体的にも精神的にも苦痛を感じ、疲れ果ててしまいます。そのような状態になったとき、自分の心を守る機能が働き、体に症状(頭痛や腹痛、発熱など)が表れます。その結果として、学校に通えなくなります。

では、なぜ「不登校になる生徒」と「不登校にならない生徒」がいるのか?

不登校になった多くの生徒は、「責任感の強い人」や「感受性が強く敏感な人」(HSPと呼ばれ、全人口の約15〜20%を占めると言われる)であると言われています。責任感の強い人は、頑張りすぎてしまうために心身が疲れやすくなり、HSP傾向のある人は敏感で繊細であるために、他者より人一倍傷つきやすく、“自己肯定感”が低い状態になりやすいです。

自己肯定感とは、「自分は生きる価値のある人間なんだ」「自分は誰かに必要とされている人間なんだ」と、自分の良い部分はもちろん、自分のダメな部分、恥ずかしいと感じる部分の全てをひっくるめて肯定できる感情のことを言います。“自分という存在”への自信であり、勉強や運動ができる、仕事ができるといった能力に対する自信ではありません。

例えると、自己肯定感は酸素に似ています。酸素は目に見えませんが、ふだん生活している場所では、その量が多いので快適に生活することができます。

しかし、山を登って行くにつれて酸素は徐々に少なくなり、頭痛や目まいなどが発生して、高山病になる可能性が高くなります。高山病にかかると、歩くどころか立っているだけでも辛い状態になってしまいます。

自己肯定感も酸素と同じように目に見えませんが、その量が多ければ人生という山を快適に歩いていけます。逆に、その量が少ないと、生きていくうえで疲れやすくなります。

自己肯定感が高い人は、自分を信頼し、勉強や部活動などに対して精力的に打ちこみ、何事にも挑戦していく強い心を持っています。また、心に余裕があるため、人に対して親切に接することができるので、多くの人が集まってくる傾向があります。そのため、学校で不安や恐れに遭遇しても、深く落ち込むことは少ないので、不登校になりにくくなります。

一方で、自己肯定感が低い人は、同じように不安や恐れに遭遇した時、激しく落ち込むことが多くなります。その結果、学校へ通い続けようとする気持ちを保つことが難しくなり、腹痛や頭痛などの症状が表れ、不登校になりやすくなります。

では、どうすれば自己肯定感を高めることができるのでしょうか?

不登校への対策」をご覧ください。
 

不登校であることの最大の問題点は?復帰(将来の自立)へ向けての対応は?

子供が不登校になった時に、親は子供の将来に不安を抱きます。だから、子供に学校へ行くよう急かしたくなります。たしかに、短期的に考えると、受験までの時間を意識して焦ったり、進級や卒業に必要な出席日数を数えて不安になるのは当然です。

しかし、長期的な視点に立って考えると、勉強の遅れはそんなに大きな問題ではありません。同級生より遅れることを気にしなければ、あとで十分に取り返すことはできます。また、社会性に関しても、フリースクールを選択したり、定時制・通信制高校へ通うことも可能です。また、高校認定試験に合格すれば、大学や専門学校への道も開けるので、現在の学校で社会性を育てることに、こだわる必要はありません。多様な選択や生き方ができるのです。

私たちが考える不登校であることの最大の問題点は、「子供の抱える辛さが誰にも共感されず、孤独に苦しんでいること」が置き去りにされてしまう点です。

短期的な視点にとらわれると、子供の気持ちを二の次にしてしまい、先回りして将来の不安をあおるような接し方になりがちです。それが継続されると、二次的三次的に傷ついてしまい、さらに自己肯定感が下がってしまいます。そうなると、早期の回復どころか将来の自立の遅れにつながることも珍しくありません。

それよりも長期的な視点に立ち、「人一倍敏感で、傷つきやすい子供」の気持ちを想像して寄り添うことで安心感を与え、十分な休息をとらせることこそが、早期復帰や将来の自立への近道になるのではないでしょうか?