活動報告

ひきこもりを越えて❺

2018/09/28

「ひきこもりを越えて」シリーズの最終回。

 

今回は、「ひきこもりが就労するために必要なこと。その適性について」です。

 

以下は、掲載された記事全文を抜粋しました。

 

 

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2018年8月29日 読売新聞 朝刊より

 

 

 

職場の理解 背中押す

 

⬛︎社会の戦力に

 

ひきこもりが部屋から抜け出しても、就労するには事業者の理解が欠かせない。良い事業者に巡り合えば、人手不足の社会で貢献できる戦力となりうる。

 

県内4か所で、高齢者向けのグループホームを運営する「遊子苑」(金沢市)では、ひきこもりだった職員4人が働く。食堂で食事が止まった高齢女性の隣に座り、「このご飯残っていますから、食べませんか」と優しく声をかける男子職員も、かつて10年ほどひきこもっていた。

 

食事の介助だけでなく、歯磨きや入浴の手伝い、書類整理、夜勤と業務は忙しい。それでもやりがいはある。かつては他人と話すのが怖かったが、今では他の職員に指示を出せるようになった。男性は「我ながらよく立ち直って成長できました」と笑う。

 

男性は2006年頃、社会復帰を目指して白山市のフリースクール「ワンネススクール」の門をたたいた。その縁で遊子苑を紹介され、最初は週に2、3日、1日あたり2~3時間だけ清掃の仕事を始めた。徐々に勤務時間を増やし、介護の仕事に手を広げ、現在では職場の中心になりつつある。男性は「自分を拾い育ててくれ、感謝しかありません」と語る。

 

 

⬛︎介護職に適性

この男性を含め、ひきこもりたちを雇ったのは、遊子苑の代表、上田慶子さん(68)だ。上田さんは「ひきこもった人は、うそがつけない優しい人が多い。高齢者とじっくり向き合ってくれ、介護職に向いている」と話す。介護職では、せっかちで業務を手早くこなす人よりも、ゆっくり高齢者と向き合う人の方が適任だという。

 

上田さんがひきこもりだった人を雇い始めたのは、8年ほど前から。親族にひきこもりがいたことから、ワンネススクールに度々見学に訪れた。その場で就労を希望する人を紹介され、受け入れて来た。上田さんは「仕事ができるのか最初は不安があった」と漏らしつつも、「一度どん底を経験した人は、芯がとても強い」と話す。

 

ただ、ひきこもりが就労するには、一般的には困難も多い。1人でハローワークに飛び込んで仕事を探せる人は珍しく、就労を支援する機関「若者サポートステーション石川」(金沢市石引)では、他人との会話の練習から始める必要がある人が多い。

 

 

⬛︎「空白期間」重く

 

それに加えて「偏見もある」と、ワンネススクールの森要作代表は憤る。最近もこんな例があった。小売店でのアルバイトを希望した女性が、店舗の研修で高評価だったものの、本部の面接でひきこもりをしていた「空白の期間」を問われ、採用されなかった。

 

森さんは「本人の現在の働きぶりをきちんと評価すべきだ。元ひきこもりだって、社会にとって貴重な戦力のはずだ」と訴える。ひきこもりが部屋から抜け出したとき、再び部屋に戻すことなく受け入れる社会が求められる。(おわり)

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